ガイダンス
このコーナーでは、初心者をはじめ、中上級者のための音楽教育におけるサムピーの使い方のアイデアを紹介します。また下記には、よくある質問(FAQ)のコーナーもあります。
サムピーは、どのレベルにおいても、リラックスした状態で楽しくフルート音の演奏を学ぶことができます。そしてこのサムピーの演奏経験は、生徒たちのフルート人生を通して、フルート演奏の健全なベースとなることでしょう。フルート音は、ある結果を目指すために義務的に演奏するものではなく、大いに音楽を楽しむための媒介としての、ひとつの自然の現象であると思います。

1)初心者のためのサムピー(最初の数週間)
サムピーをフルートのレッスンや音楽の授業の中で使用するにあたり、それぞれの教育環境や与えられた時間等、様々な状況があると思われます。何れにしても、課題として目指すところは:
- フルートを構えたり、指使いを気にするために起こる身体のストレスがない状態で練習でき、柔軟性のあるアンブシュアーと安定したフルート音を楽しく発達させる。
- 音楽的なセンスや意識を発達させる。フルート音をある音程の名前と関連させることなく、空気の中で振動しているひとつの自然現象から生じる音であることを感じる練習。
- リズム感を発達させる。個人でのリズム感とグループ演奏におけるリズム感。
- 高価なフルートを購入する前に、子供がフルートの練習に興味があるか、フルート演奏にふさわしいかを判断する。
- ベーム・フルートに移る前に、まず柔軟性のあるアンブシュアーと安定したフルート音を発達させる。
レッスン1:風の音(ウィンド・トーン)
最初のレッスンでは、いろいろな種類の「ウィンド・トーン」のみを使って、様々なリズムを演奏してみましょう。まず、サムピーの構え方を教えます(ロゴマークのある方が右側)。次にウィンド・トーンのみを使って「ゲーム・スタイル」のお遊び的な学習方法で進めて行きます。例えばグループで一緒に演奏したり、真似っこをしたり、交互に演奏したり、長短のウィンド・トーンやリズムを演奏したり、風のお話を創作したり、またT-タンギングを試したり等、いろいろと工夫しながら、特に生徒たちが吹くことの楽しみを感じるように指導して行きましょう。次に、サムピーの端を手のひらで叩いて、打楽器的な音を演奏します。そして、ウィンド・トーンとこの打楽器的な音のリズムを組み合わせて、曲を創作します。

レッスン2:フルート音
次のステップでは、最初の「フルート音」の演奏を指導します。このための準備練習として、まず目の前にロウソクの焔を想像して、これを消さないように、焔が静かに揺らぐように、長く吹く練習をします。この時にサムピーをロウソク変わりに目の前に縦に構えてみるのもよいでしょう。また、手のひらをかざして吹きかかる息の流れを感じてみるのもよいでしょう。また、長細く切った小さな紙を鼻の頭に当てて、この紙が一箇所に止まっているように、はためかないように吹き続ける練習もよいでしょう。次に、この吹き方をサムピーを使って試してみます。すぐにフルート音の出る生徒もいれば、少し時間が必要な生徒もいるでしょう。お互いに比べたり見合ったりして助け合いましょう。また、グループをふたつに分けて、ウィンド・トーンとフルート音を交互に演奏してみたりすることもできます。この段階では、サムピーの両端は常に開いた状態で練習します。

レッスン3:鳥の歌
次のステップでは、鳥の歌を真似てみます。ここでは、このサムピー・ホームページにある16の鳥の歌のサンプルを使うことができます。最初に、サムピーの構え方、両端を親指で開閉する仕方、サムピー独自の親指の開閉が指示されている音符の読み方を指導しましょう。ここにあげた鳥の歌のサンプルのほとんどがフルート音を使用しますが、その他に例えばアンブシュアー・ホールを通してフルート管が響くように声を出したり(メンフクロウ、トラフズク等)する鳥の歌もあります。指示されている発音方法(tu-tu-tu、ta-taaa、等)をできるだけ正確に演奏するように指導しましょう。生徒たちが自分たちの動物の音を考案して演奏してみるのもよいでしょう。


レッスン5:デュオとアンサンブル
デュオやアンサンブルの演奏を取り入れましょう。ここでは、サンピー・ブックを使用することもできますし、先生方独自の曲を創作して楽しむこともできます。

レッスン6:自分のサムピーの曲を創ろう
この最後のステップでは、生徒たちがサムピーを使ったそれぞれ独自の曲を作曲します。サムピー・ブックの中で使われている音符(左右に分かれている)を使ってもよいですし、また独自の記譜法を発明したり、図形楽譜やイメージを使って作曲してもよいでしょう。できた曲にはタイトルを付けさせましょう。また、これらの曲を暗譜して発表したり、動作を伴った曲を創作することも可能です。

ベーム・フルートに移る準備ができました!
この段階では、生徒たちはフルート音に関する幅広い理解と、柔軟性のあるリラックスしたアンブシュアーができあがっているでしょう。そして、大きなフルートに移る準備が整いました。これらのサムピーのアイデアが、先生方の指導の中で少しでも役立つことを願っています。ご意見やアイデアがありましたら、どうぞ遠慮なくコンタクトのページよりメッセージをお送りください。特に今の時代は、子供達が早い時期に「デジタル」に出会うことが多くなりました。このような状況の中で、自分たち自身の息を使って、吹いて音を創造するという「アナログ」のアクションの楽しみを、子供たちに指導して行きたいと常に心から願っています。そして、ここではフルートの先生方の仕事がとても重要な役割を持ちます。また、新しい、才能のあるフルートの生徒を発見していく可能性にもつながります。

2/中上級者のためのサムピー
サムピーは中上級者のためにもとても魅力的な楽器です。サムピーを新しいフルートとしてチャレンジしてみたり、フルート練習のための補助楽器として使用することができます。そして、サムピーはあなたを「吹くことにより音を出す」というフルート演奏の重要な基礎に、今一度連れ戻してくれます。サムピーの演奏には、アンブシュアーを活発に使うことが要求されます。したがって、柔軟性のあるアンブシュアーの訓練のためには最も優れた楽器です。それは「指で演奏するのではなく、息で演奏しなさい」と示唆しているようです。下記にサムピーの使い方についていくつかのアイデアを記します。

サムピー・ブック
サムピー・ブックは確かに中上級者にとっても、とてもエキサイティングな挑戦です。役に立つ練習としては、サムピーを内側外側傾け演奏するピッチベンディングの練習(38番から41番)、ウィンド・トーン(45番、46番)、中上級者向けの曲(71番から75番)などがあります。これらの練習曲は、アンブシュアーの柔軟性を養うための訓練としてとても有効です。またサムピーを使って自分の曲を作曲してみることもお勧めします。

ウィスパー・トーンの練習のために
ウィスパー・トーンの練習は、フルートの音質の上達やアンブシュアーの柔軟性を養うためにとても効果があります。サムピーは持ち運びが簡単なため、ちょっとした空き時間にでもウィスパー・トーンを練習するのに、とても優れた便利な楽器です。ウィスパー・トーンに関しては、現代奏法に関するサイト:www.forthecontemporaryflutist.com または私の練習曲集「For the Contemporary Flutist」(現代フルート奏者のために)をご参照ください。

循環呼吸法の練習のために
循環呼吸法は、フルート奏者の間ではあまりポピュラーなテクニックではないかもしれません。しかしながら、循環呼吸法はアンブシュアーや呼吸法を訓練するために、驚くべき効果を発揮する偉大なテクニックなのです。サムピーはシンプルで、いつでもどこでもサッと手にとって演奏することができます。ですので、フルートをケースの中にしまったままで、たびたび循環呼吸法の練習を気軽にすることができます。循環呼吸法に関するさらに詳しい情報は:www.forthecontemporaryflutist.com または私の練習曲集「For the Contemporary Flutist」(現代フルート奏者のために)をご参照ください。

ビート・ボクシング
下記のビデオ・イメージをクリックすると、ギジェルモ・トムソンさんのサムピー・ビート・ボクシングの演奏を聴くことができます。次に、あなたもトライしてみましょう!
サムピーを持って外に出よう!
サムピーはとっても丈夫な楽器です。旅行に出た時や、公園、森、自然を訪ねた時などに、カバンの中に入れて持って行っては如何でしょうか。サムピーは野外でもとてもよく響きます!

3/ FAQ: サムピーについてよくある質問
下記にサムピーについてよくある質問を上げてみました。下記に記されていない質問は、どうぞお気軽にコンタクトの欄よりお尋ねください。皆様のご質問、ご意見お待ちしております。
• 音楽プロジェクトにて:音楽学校等でフルートを紹介するための音楽プロジェクトの中で、サムピーは音楽的な創造性、即興演奏の体験、グループでのインターアクションによる演奏、吹くことの楽しさなどを紹介するためにとても適している楽器です。また、フルートの演奏がある生徒に適しているかどうかを確かめるためにも役立ちます。
• サムピー・ジュニア(以前のヴァージョン/パラフィン仕上げ):このモデルのお手入れは、ハンドクリームなどに使うワセリンを布に少し染ませて時々磨くことをお勧めします。
• サムピー・クラシック(プロ):このモデルは、木材用の特別なオイルを充分にしみ込ませてあります。長期間楽器の光沢を保つためには、時々やわらかい布で木の表面を磨くことをお勧めします。また、演奏回数にもよりますが、時々、年に2回くらい堅木用のオイルをやわらかい布にしみ込ませて、木の表面をオイルが染み込むまで強く磨きます。管の中はフルート用掃除棒の布にオイルをしみ込ませて、オイルが染み込むまで強く磨きます。堅木用のオイルを使用しますが、またこれが手に入らない場合はオリーブオイルでもよいでしょう。
コンタクト
ご質問、ご意見、ご感想は、コンタクトのコーナーよりお気軽にメッセージをお送りください。できるだけ早くお返事するようにいたします。